牧草を食べないことは大問題
牧草には多くの繊維が含まれており、食べないと繊維不足による消化器機能の低下や、歯の病気につながります。「硬い便の間に下痢、軟便をする」「盲腸便を残す」「便の形が一定ではない」などは、牧草が足りていない可能性があります。
なんとか牧草を食べて、お腹の調子を整えてほしいと願うばかりです。
一日一回以上は、牧草を取り換えて、美味しい状態の牧草を常時与えておいてください。
原因
その1:牧草以外を与えすぎ
ウサギの病気は飼育方法の間違いによって起こるものが半分であると言われています。その原因の一つが、「牧草以外の与えすぎ」です。
牧草は、食べ物の中で美味しいものでもカロリーの高いものでもありません。そのため、本能的にウサギは美味しいもの、カロリーの高いものを選択しがちになります。ペレット、おやつ、サプリメントを与えることに満足していませんか。お腹に牧草を食べる余裕を残してあげてますか。
一般的には、ペレットは一日当たり体重の1.5%以下(生後6ヵ月以降)
シニア期(5,6歳以降)は体重の1%以下でも良いと言われています。
お腹の調子が優れない子や全く牧草を食べない子の場合は、さらに量を減らして与えるようにお願いすることもあります。
おやつのドライフルーツのキューブなどは2,3日に1つ与える程度。
健康なウサギに基本的に胃腸系のサプリメントは不要です。(←バッサリ!別ページで説明)
以上のように診察中にお話しすると、たいてい…
すごく欲しがるんです。それしか与えないのはウサギが可哀想。
ウサギ専門店の人にサプリがいいってオススメされたんだけど…。
など、お話をお聞きします。
基本的にウサギは自らの盲腸で栄養を作り、盲腸便として食べて体を保つように作られています。そのため、高栄養なペレットを大量に与えると、盲腸便は食べずに排出され、低繊維なものばかりあげていると、うまく盲腸便を作れなかったりと、本来ウサギに備わっている体の機能をうまく使えず体調を崩す原因となります。
まずは騙されたと思って、食生活を変更してみてください。最初は、牧草以外に食べるものがなく仕方なく食べているように見えるかもしれません。しかし、時間がたてば、うまく環境に適応してくれることが多いです。そうまでしてでも、牧草を食べることの恩恵を無視することはできません。
その2:大人になるまで牧草を与えていなかった。または、食べないことを容認していた。
ウサギは保守的な動物で幼い頃に食べた物以外なかなか口にしません。
これは、野生において毒草をさける役割をしていると考えられています。(毒草を区別できるわけではありません。)なかなか根気のいる戦いになりますが、以下の工夫をご提案します。
- さまざまな種類の牧草を与え、気に入るものを見つける。
- 生牧草やペレット牧草から始める。
- 牧草に好きな味をつける。
牧草にはチモシー以外にさまざまな種類が存在するので、いろいろ試してみていただくのは一つの手段です。それも、ハードルが高い場合は、生牧草(乾燥する前の牧草)やペレット牧草から始めてみるのもいいかもしれません。大好物がある場合は、牧草に大好物の味をつけて与えてみるところからでも試してみてもいいかもしれません。
その3:不正咬合がある
不正咬合は、先天的な問題の場合もあれば、食生活の乱れや、年齢による変化により歯が変形してきてしまう病気です。一度不正咬合に陥ってしまうと、定期的に歯を切らなければなりませんし、噛み合わせは悪い状態のままです。切っても歯は曲がったままであるため 牧草を食べるのは非常に困難です。重症だと牧草を食べるのは不可能なこともあります。まずは、動物病院で指導を受けていただければと思いますが、いろいろ試しても全く興味を示さないようでしたら、諦めても仕方ないかもしれません。
牧草を食べない=即病気につながるというわけではないので、ペレットタイプの牧草を与えたり、繊維の多いペレットなどで可能な限り代用することも考えなければなりません。