赤血球、白血球、血小板
病院によって参考基準値が違う!?
人で統一されている参考基準値は、動物では病院によって大きく異なります。これは、使用されている血液検査機器の違いや、設定する際に参考にしたデータの違いによるものです。近年、イヌネコでは基準を統一化しようという動きが出ていますが、それでもまだまだ基準値はバラバラです。なおのことウサギではかなりの差がでることがあります。
このページに記載されている参考基準値はあくまでも一例です。動物病院から渡された血液検査の結果用紙と違っているからといって、どちらかが間違っているわけではありませんので、ご理解のほどよろしくお願い致します。
参考基準値 | 高値 | 低値 | |
---|---|---|---|
赤血球数 | 5.1~7.9×10^6/μL | 脱水、多血症、心不全 | 貧血、出血、腎不全、 高エストロジェン血症、慢性消耗性疾患 |
PCV (Ht,ヘマトクリット) | 33~50% | ||
白血球数 | 5.2~12.5×10^3/μL | 炎症性疾患、白血病 | 慢性疾患、敗血症 |
血小板数 | 250~650×10^3/μL | 急性出血後、慢性炎症 | 採血時の凝固、播種性血管内凝固 |
赤血球
赤血球が赤いので、血液は赤い色をしています。酸素を各組織へ運ぶのが主な役割です。ウサギの赤血球の大きさは、イヌとネコの間くらいの大きさで、健康な時でも大きさが一定ではありません。そのため、大きさによる判断は重要ではないと言われています。また、赤血球の57日寿命が短く、早いサイクルで作られ、壊されるので常に新しい出来たばかりの赤血球(網状赤血球)が多く存在します。(イヌ:120日 ネコ:70日)
白血球
白血球には、好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球とさまざまな種類が存在します。ウサギの好中球は、偽好酸球と呼ばれ、他の動物と異なり、好中球に顆粒を持っているため、好酸球と非常に似ています。
白血球(特に好中球や単球)は、感染から身を守るための戦う細胞です。そのため、一般的には細菌感染が起こると、白血球数を増加させて、身を守ろうとします。しかし、ウサギでは、感染による白血球の増加はあまり認められないため、白血球に変化がないからと言って、感染がないという証明にはなりません。
他にも偽好酸球とリンパ球の比率を見ることにより、感染や炎症性疾患を疑いますが、年齢、時間帯、ストレスなどにより変化するため、総合的な判断が求められます。
血小板
血を止めるための細胞の切れ端です。ウサギの血液は非常に固まるのが速いため、採血したそばから凝固が始まります。全身状態や血流、血管の状態により、採血に時間がかかってしまうと、血液検査機器が、固まったものを1つと捉える為、数値としては少なく出ることが多々あります。
血小板が本当に少ない場合は、採血した場所からの出血が止まらない、紫斑がでるなどが起こります。