基本的にサプリは不要
多くの栄養は腸内細菌によって合成されています。さらに主要な栄養素はペレットや牧草に十分含まれていますので、しっかりと盲腸便を食べることができれば、栄養素の欠乏症になることはまずありません。また、残念なことに、ウサギでエビデンス(科学的根拠)のあるサプリメントはほぼありません。そのため「サプリメントをあげる意義」があまり見出せないのが、実情です。
何か少しでも良いものを…と色々試したくなるところではありますが、サプリメントそのものはウサギ本来の食事内容から栄養バランスがかけ離れているケースもあります。そういったものを大量に与えると、本来のウサギの食生活とかけ離れてしまい、体調を崩すことがあるため、注意が必要です。
パパイヤ、パイナップルで毛球症予防…??実は、ただの気休めです。
「生」の「青」パパイヤにはパパインという消化酵素が含まれています。しかし、熟したパパイヤにはほとんど含まれません。
酵素はそもそも特殊な構造を持った蛋白質です。加熱処理されることで蛋白質の形が変わってしまうため、酵素は効果を発揮することができません。なにより、ウサギの胃酸は強酸(pH1-2)でです。強い酸に曝されれば、当然蛋白質は消化されて形が変わってしまいます。よって、口から摂取した酵素が体内で効果を発揮することはほぼないと言えます。
パイナップルに含まれる消化酵素であるブロメラインも同様のことが言えます。もし、これらの消化酵素が「消化が難しい毛」などに効果があるとすれば、そのせいでウサギの体(胃壁)のほうがダメージを受けてしまうことでしょう。パパイヤやパイナップルをおやつとして与えるのはもちろんアリですが、毛球症の予防効果は期待しないほうがいいでしょう。
乳酸菌は効くのか?
人や他の動物では乳酸菌が常在菌として存在し、プラスすることによって整腸作用があるとされています。残念ながら、ウサギの腸内には乳酸菌は存在しないのが一般で、効果は疑問です。さらに、生きた乳酸菌を与えたとしても強い胃酸でほとんどが死滅してしまうと言われています。
実際乳酸菌が効くか効かないかと言われれば「不明で、与えて悪いものではない」というのが答えです。あくまでも大きな効果を見込むのではなく、予防の域(?)で留めたほうが良いしょう。
私は乳酸菌のサプリメントは基本的には不要であると考えています。なぜならば、乳酸菌の効果の有無よりも、サプリメントに含まれる「炭水化物」のほうがマイナスなっていることが多いと考えるからです。
お腹の調子が優れないからといって、乳酸菌サプリメントを何種類も与えている方がたまにいらっしゃいますが、私が診療に当たる際はサプリメント全部にストップをかけて、まずその他の食生活を見直すことから始めましょうとお伝えしています。最初はびっくりされる方が多いですが、騙されたと思ってやってみると、意外と改善する子が多いのは事実です。