体温は38.5-40.0℃
おおよそ人は36℃台、犬猫は38℃台、ウサギは39℃台が平熱です。体調を崩したりすると体温は上下するため、測定すべき項目の一つではあります。しかし、ウサギは腸粘膜が弱いため、体温計を肛門から挿入することによって粘膜を傷つける恐れがあります。また、ストレスに弱い生き物で、測定時にすぐに興奮して体温が上昇してしまうケースがあります。測定するリスクと正確な測定が困難であるという理由から、ルーチンとして動物病院では測定しないことが多いです。
呼吸数は一分間に32-60回
体調不良により呼吸数の少ない深い呼吸になったり、興奮したりすることによって、呼吸数が突然早くなったりと、ウサギは呼吸で体調を判断するの時として困難です。正確な計測を試みる場合は、ウサギが落ち着いた状態の時に、遠くから鼻がヒクヒク動く回数や、胸の動きをよく見て回数を数えてみてください。なかなか数えるのは難しいですよ。
鼻に異物がつまったり、肺炎や肺の腫瘍などの病気時は、呼吸が苦しく、口を開けて呼吸(開口呼吸)をすることがあります。命の危険が迫っている可能性があるため、肺を圧迫するような姿勢や抱っこを避け、一刻も早く病院へ行かなければなりません。
一回換気量は4-6ml/kgと少ない
ウサギは他の動物と比べ、お腹が大きく、胸の小さい生き物です。そのため、一回に吸って吐く量は、非常に少なく、体重当たりでも人と比較して少ないです。(人:6-8ml/kg)
この換気量の少なさは、しばしば麻酔をかけるときに問題になります。ウサギ等の小さな動物専用の麻酔器はありません。イヌと同じ麻酔器を使用することが一般的ですが、大きな動物では、ほとんど気にならない麻酔回路に残っている麻酔薬でさえも、ウサギにとっては麻酔のリスクを上げる要因になってしまいます。
心拍数は一分に130-325回
一般的に小さな動物のほうが心拍数が多いとされています。また、ウサギは体に対して心臓が非常に小さい生き物です。(心体重比:犬1%・ウサギ0.2-04%)
そのため、心臓に何か問題があると、急速に状態は悪化しやすいと言われています。この速い心拍数は、心疾患の発見を遅らせます。聴診器を当てて聞くような状態の時は、基本的にウサギは緊張しています。一秒間に4回以上のリズムで手を叩いてみてください。そのリズムの中で雑音を探さなければならないのは難しいですよね。
血液量は55-65ml/kg
一般的に動物は循環血液量の25%までは安全に採血できるといわれています。(簡易的に体重の1%程度と表記されることもあります。)体重1kgの子であれば約10-13ml。循環血液量の1/3である33%を超えると出血性ショックに陥る危険性が高くなります。
血圧は人と大きな差はない
収縮期血圧 /拡張期血圧は90-130/60-90mm Hgと言われています。人と大きく変わりはありませんが、体が小さく、起きている間は動くため、測定するのが難しいです。血圧はダイナミックな変化をするため、イヌ、ネコの場合は何度も測定しその平均を出すのが一般的ですが、ウサギが何度も測定させてくれるかはその子次第です。