facebook

mixi

twitter

トップ>interviews » おじさんのうさぎ村
インタビュー

横浜線矢部駅から徒歩18分、職業安定所前バス停すぐの位置にあるのが、ウサギ専門店「おじさんのうさぎ村」だ。スーパー、ドラッグストア、小学校等がすぐ近くにある閑静な住宅街の中で2001年10月よりウサギとの出会いを提供している。「ウサギと一緒に楽しく仲良く暮らしてほしい。」と、微笑みの中に真剣さを伺わせる「おじさん」こと仲村雄一店長。メガネの奥の瞳が優しく、温かな語り口に、ホッと心が和んでくる。今回はブリーダー、ウサギ専門店としての思いを語っていただいた。(2012年10月11日取材)

 

純血種のウサギに魅せられて

  なぜ専門店を始めようと思ったのですか。

 動物が元々好きで、動物に関わる何かをやりたいという漠然としたものを思っていました。ですが、ペットショップを開こうと考えた時、犬や猫のペットショップを後からちょこっとやってもうまくはいかないだろうという考えもありました。もう随分昔の話になりますが、あるウサギ専門店の記事が新聞に小さく掲載されているのに、目が止まってね。今でこそ飼育頭数も増えてきて、最近ではあちこちでウサギ専門店を見かけますが、当時はまだ純血種のウサギたちが日本に入ってきて間もない時代でした。専門店というのは、全国で5件もなかったと思いますよ。その頃のウサギのイメージというのは、ペットショップの隅っこで売られていて、決して良い環境とは言えないところで販売されているものでした。ですから、「ウサギ専門店?なんだそれ?」というのが、当時の素直な感想です。そんなことを思いつつも、その専門店へ足を運んだところ、その場でウサギの魅力に憑りつかれ、ホーランドロップという品種のウサギを飼い始めました。同時に漠然と、「純血種のウサギ専門店を開きたい」という気持ちを抱きました。

  お店で販売する品種を選んだ理由と、品種による性格の違いについてお聞かせください。

 人気があるのはネザーランドドワーフとホーランドロップ。ドワーフホトトはたまたま見かけた子がすごく懐いていたため、ブリードをし始めたんですね。ライオンヘッドは以前よりブリードをしようと考えていましたが、ARBA(アメリカンラビットブリーダーズアソシエーション)の品種として公認されていないため、手を出さずにいました。しかし、最近では品種として定着してきたため、そのうち公認されるだろうと予想しブリードを始めましたが、未だに公認されず愛らしさに反して人気もいまいちです。
 性格に関しては、ホーランドが最も大人しく温厚で懐きやすいです。次にライオン。ネザーとホトトは同じくらいの懐きやすさで、ネザーは自由奔放型、ホトトは好奇心と警戒心が強いです。警戒心は、目が開いた時から可愛がり、いろいろ教えてあげるとなくなりますので、好奇心だけになる子がほとんどですよ。時々、懐きすぎてしまって、自分が王様だと思ってしまう子もいますね

  ウサギとはどんな動物ですか?

 ウサギはワンちゃんみたいにずっと昔から仲良くしている動物ではないですよね。基本的に犬は縦の社会ですが、ウサギは一人一人(一頭一頭)、横の社会のほうが強いと思うんです。上からいろんなことを教えてあげると、覚えはしますけど、ウサギと友達になる感覚で接してあげたほうが仲良くなれますよ。
 あとは、一対一で可愛がってあげることかな。一対二人(二頭)だとウサギ同士がケンカをしますからね。可愛がるというのは、自由にさせてあげる可愛がり方です。かといってあまり自由にさせすぎると身勝手になってしまうので、怒るときは怒る。そういうメリハリも大事です。

  ウサギブームの実感はありますか。

 ブームという実感はないですが、当時から比べるとだいぶ増えて来ているのは確かです。ただ、一時的に爆発的なブームはないほうが良いと思っています。徐々に増えていくのが理想。ウサギ全体もそうですが、犬の何かの品種みたいにそこに集中して爆発的に増えるのは、どうなのかなあと思います。生き物を飼うという行為と流行は関係ないですからね。



計画的なブリードを行うのがプロである

  ブリードについて教えてください。

 ウサギは交尾排卵動物なので、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。そのため、妊娠自体は簡単です。ただ、稀にピーナッツベビーが生まれることもあるし、産道の途中でひっかかって出てこないこともあります。普通に生まれてきても、育てている途中で死んでしまう子もいるため、ブリードには覚悟が必要です。人によっては、ブリードする時に、お尻の毛や、おっぱいの周りの毛を刈ったりしますが、よほど汚くならない限り私はやりません。あくまでも母ウサギに任せます。

 交尾排卵動物:交尾の刺激によって排卵が起こる動物のこと。
ピーナッツベビー:著しく小さい状態で生まれてくる未熟な子ウサギのこと。ドワーフ種は遺伝的に一定の割合で生まれ、ほとんどの場合生後間もなく死んでしまう。

  ブリードをする際の注意点やブリーダーを目指す人に一言いただければと思います。

 自分で飼っていると可愛くなってきて、この子の子供がほしいな、産ましてみたいなと思うこともあるでしょうね。ただ、出来ればブリードはしないほうがいいような気がします。悲しい出来事ももちろんありますし、生まれた後はどうするか等を先に考えなければなりません。本当にブリードをしたいのであれば、妊娠何日目にウサギがどのような行動をとるかを知り、それに応じて準備をする必要があります。知らない間に子ウサギが生まれるなんてことは、困りますね。
 例えば、ホーランドロップは40g前後で出産し、最初の一日目二日目は体重が増えません。三日目から体重が増えます。私は毎日必ず体重を計ります。ウサギ用の人工ミルクはないですし、小動物用の人工ミルクは私はあげません。育ちが悪い子は、母ウサギには可哀想ですが、捕まえてでも連れてきて母乳を飲ませる必要があることもあります。



健康でなつっこいウサギが一番

  信条はありますか。

 大それては考えていませんが、店をやるにあたってどういうところにポイントを置くか考えたとき、ラビットショーに出して形を競うとかいうのはあまり好きになれませんでした。純血種を販売しているのである程度、形は気にはしていますが、最重要かというとそうではありません。よく個人のブリードで起こるのは、形を求めすぎてラインブリード(近親繁殖)をしてしまうことです。健康面よりも形を求めるのは逆方向だと思います。一番のポイントは、形よりも「健康であること。そして、性格が良いこと」。特に性格面については自分でブリードをしているので、目が開くとすぐに人間に慣らすことにしています。そうすることによって、子ウサギは自然と人間に恐怖心を持たなくなります。やはり、お客さんにウサギを貰ってもらうからには、なつっこくないとね。

  どのように店頭に置く商品を選んでいますか。

 一番重要なものは牧草。チモシー。チモシーの中でも、なるべく良質な繊維質が入ったものを置くようにしています。フードは元来アメリカのウサギですから、アメリカの有名なラビットフードメーカー三社のうち一つの「ヘイノルド」を使用しています。おやつの類はあまり置いておりません。おやつなんてあげなくても良いというのが基本的に自分の中にあるので。皆さんそういうことをあまり知りませんし、おいしいから、あげるとウサギは食べてしまうんですよね。だから皆さんに、「おやつはあくまでもおやつ。なるべく牧草(主食)を食べさせるようにしてください。」と言っています。



癒し系の動物なのだから、癒されてもらわないと困る

  他のウサギを扱っている方について何か思うことはありますか。

 専門店同士の関わり合いは少ないので、よくわかりません。お客さんの色々な話を聞いて思うことは、ラインブリードをしている所や、お店が臭いなあと思ったところからウサギを迎え入れるのは避けるべきでしょうね。ウサギ専門店でウサギをぞんざいに扱っていることはないと思いますが、正直なところ、一般の量販店みたいなところで売られているウサギは可哀想だと感じてしまいます。どこで生まれたかさえもわからないような子や、先天性の疾患を持つ子を販売するのはやめてほしいですね。飼い始めて一週間で死んでしまったり、不正咬合があったりなんてことも耳にします。自分がウサギ専門店をしているからというわけではありませんが、ウサギはウサギ専門店で買ったほうがやっぱり良いですよね。動物を飼うからには、健康で可愛い子っていうのが一番。生まれてきたウサギが不幸になるような繁殖は、絶対にやめてほしいと思います。

  動物愛護法について何か思うことはありますか。

 しっかりと動物として扱ってあげることは良い事です。犬や猫がメインで、ウサギに関することはあまりないですが、例えば店頭販売のことがありますよね。インターネットで買ったら、ケガや病気の子が送られてきた等の問題はなくなってくると思います。元々うちはホームページに写真は載せていますが、店頭でしか販売していません。時々、ホームページの写真を見て「この子がほしい」と電話が来ることはありますが、「一度でも見に来てもらって、気に入ったら連れて行ってください」と言っています。お客さんとウサギとの相性もあるので実際に触ってみて一番懐きそうだなと思う子を選んでもらうようにしてもらっています。癒し系の動物を売っているのだから癒されてもらわなければ困るんです。一緒に楽しく仲良く暮らすのがコンセプト。そういう風になってほしいのですよ。基本中の基本ですが、ただ買って帰って、ご飯だけあげているというのはちょっとね。家族の一員というか、そこまでにならなくても一緒に生活をしてほしいから。

  あなたにとってはウサギとは

 「ウサギとはねぇ…なんだろうね。難しいなぁ…。」

 一般の飼い主さんの立場で言わせてもらうと、生活の一部、家族の一員ということになるのでしょうけど、店をやっている以上は商売ですから、ウサギとはいえ商品とも言えてしまうんですよね。そこが非常に難しいところです。あえていうなら、ウサギを連れて帰った人たちが楽しく暮らしてほしいから、ウサギの健康と性格にこだわって、ブリードし、提供するってことかな。商売とは言っても、ウサギ専門店なんてそんなに儲かる仕事ではないですけどね。私は一飼い主として、一人二人(一頭二頭)と寄り添って暮らす立場じゃないですから…。難しいですけれども、生活のすべてではありませんよ。ウサギと接していない時は、“普通のおじさん”です。とは言っても、あまり時間がないんだよね。生き物は年中無休ですし、朝起きて一番にすることは、ウサギ部屋掃除と朝ごはん。自分の朝食はいつもそのあと。ウサギとは…うまくはいえないけどなんだろうね。

 

 

 

 「好きだから」、「可愛いから」だけでは務まらないのが動物を売る仕事。ウサギがすべてではないと言いつつも、「ウサギと楽しく暮らしてもらいたいから」というまっすぐな思いを貫くべく、おじさんはほぼ全ての時間をウサギと共に過ごしている。「あなたにとってウサギとは」という質問に明確な答えは返ってこなかったが、その答えの中には、ウサギ専門店として歩んだ11年間の思いと職人のような心意気を感じずにはいられなかった。

 

おじさんのうさぎ村

おじさんのうさぎ村
〒252-0236
神奈川県相模原市中央区富士見5-2-19

 

トップへ戻る