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トップ>ゴニョゴニョ>ペリアクチン(食欲増進剤)の功と罪

ウサギだけでなく、他分野に渡る独り言です。

2015/2/09

writer:ウサギのハート代表

お久しぶりです。ウサギのハート代表です。
今回は、多くの病院でウサちゃんが食欲不振に陥った際に処方されるペリアクチン(薬剤名:シプロヘプタジン)についてお話します。

 

―ペリアクチン(シプロヘプタジン)ってどんな薬? ―
人でも使用される薬で、アレルギー症状(くしゃみ、じんま疹、かゆみ など)等を抑える作用も持ちます。
副作用として眠気や食欲増進などが挙げられます。(細かい作用機序やらは省略します。)

 

ウサギの治療に関しては副作用である「食欲増進」を利用しています。
しかし、この食欲増進作用には利点と欠点があることを知っていただきたいです。

 

食欲増進の利点
・ 早期に食欲を改善させることができることにより、栄養状態の改善を図ることができる。
・食欲が増すと元気そうに見える。

 

 

食欲増進の欠点
・本来の食欲ではないため、本当に食欲があるのかどうかが不明(つまり、食欲で全身状態の把握ができにくくなる)
・言い方によっては「薬によって食べさせられている」という言い方もできる
・消化器機能改善の際に処方されるプリンペラン(薬剤名:メトクロプラミド)と作用がぶつかり、効果が減弱する可能性がある。

 

 

こんなことが考えられます。

 

私自身、ペリアクチン(シプロヘプタジン)を処方することは滅多にありません。なぜなら、私にとってこの薬は欠点のほうが大きいと感じるからです。
食欲がないから食欲を出させようというのは、考え方としては間違ってはいないです。しかし、「食欲がないのには何かしら原因がある」はずなのです。

ただ漫然と食欲増進剤の使用をすると、

 

・食欲の落ちた原因がわからず、 薬をやめると食欲が落ちる。そしてまた処方する。(無限ループ)

・ちょっとの食欲低下があったとしても薬でカバーされて、発見が遅くなる。

 

私はこれが好きではないのです。その代わり薬を使用しないと、食欲がないので、強制給餌のサポートはより必要になりますし、治りが遅いように感じるかもしれません。
要は治ってしまえば、飼い主さんには使おうが使わまいがどっちでもいいことなんですが、獣医師はこんなことも考えて診察、治療もしていますというお話でした。笑

 

※ペリアクチンを使用する獣医師を批判するつもりは一切ありません。あくまでも個人の見解であることをご理解ください。

 

2014/9/18

writer:ウサギのハート代表

こんにちは。ウサギのハート代表です。
私事ではありますが、転院いたしました。
(転院とは・・・働いている病院を変えること)

 

獣医師免許を取得し、初の病院では本当に多くのことを学ばせていただきました。
技術や知識はもちろんのこと、本当に基礎の基礎のことですが、診療に対する姿勢、気持ちの面から何から何まで教えていただき本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

では、「なぜそんな病院を辞めたのか?」そんな疑問が浮かぶと思いますが、以下の理由により転院を決意いたしました。

 

1.ウサギの治療にはさまざまな方法がある。
前病院は、現在ベーシックと言われているような治療方針ではありませんでした。
いわゆるアウトローなやり方だったと思いますが、しっかりとした理論性があり、いい意味で固定概念をぶっ壊してくれました。
しかし、ベーシックと言われる治療にも必ず理論性があります。それを自分の目で見たいと思ったのです。

 

2. 動物病院は多くの場合個人経営で、治療以外にも方針が全く異なる。
院長の方針でどうとでもなってしまうのが、個人の動物病院です。仕入れる薬、機材も違えば、休みや給料も異なります。
将来自分の病院を建てるうえでいくつかの病院を回る必要性があると考えています。(事実、獣医師の多くは2~3件病院を回ったうえで開業していることが多いです。)

 

 

現病院では、今まで得た感覚とのギャップに戸惑っていますが、異なる考えややり方も体感、体得し獣医師との「質」「知識的、技術的な向上」に努めていくことを心に決めています。
ガンガン成長します。

2014/8/29

writer:ウサギのハート代表

今日はウサギの歯科処置の仕方についてお話します。

 

ウサギの不正咬合と言えば、ウサギの三大疾患の一つと言われるくらい多い病気の一つです。(その他二つはうっ滞、子宮疾患)

 

※不正咬合とは・・・一生伸び続けるウサギの歯が変な方向に曲がり、舌や頬を傷つけたり して、食欲不振に陥ったりする疾患。読んで字のごとく「不正(正しくない)」「咬合(かみあわせ)」のこと。

 

現時点では、不正咬合の治療は「曲がってきた歯を削る、または切る」という治療が主流であり、人間のように矯正をすることは難しいとされています。
ただし、軽度な門歯(前歯)のみの不正咬合ならば切り方、削り方により、正常な位置に戻る可能性はゼロではありません。

 

ここからが本題です。
ただ歯を「切る」「削る」と言っても、実は病院によって処置の仕方には大きな差があります。今日は、その違いを説明したいと思います。

 

歯を処置するのに使われる機材は
・ニッパー、ロンジュール等:歯をバチンと切断するもの
・マイクロエンジン:人間の歯医者でも使われており、モーターにより高速回転する機材。先端を変更することによって、削る、切るが行える
・ヤスリ:金属製で臼歯(奥歯)削りに使用

等があります。今日は使用される機材の長所短所を簡単に説明したいと思います。
(私個人の意見です。様々な意見があるため参考程度にしてください。)

 

【ニッパー、ロンジュール等】
<長所>
・安価
・奥歯(臼歯)の処置に慣れている獣医師ならば感覚的(盲目的)に一番後ろの奥歯を処置できる可能性がある(通常視野を確保しにくいため、麻酔をかけることが多い)
・口腔内に機材を入れている時間が短時間 ※臼歯(奥歯)の場合

<短所>
・破折(歯が縦に割れたり、変な方向に折れたり)の可能性がある
・あくまでもバチン切っているだけなので、必ずしも綺麗な切断面になるとは限らない
・歯根への負担が大きいため、さらに歯が曲がって生えてくる可能性がある
・「バチン」という衝撃は、痛みとともにウサギに恐怖感を植え付け、治療に協力的でなくなる可能性がある

 

【マイクロエンジン】
<長所>
・歯根の負担がニッパーに比べ少ない
・切断面を綺麗に整えることができる
・破折のリスクが少ない

<短所>
・処置の費用がほかに比べ高い可能性がある(たいして変わらないと思いますが、念のため)
・口の中を傷つけるリスクが高い可能性がある
・ニッパーよりも処置時間が長くなる可能性がある

 

【ヤスリ】※臼歯のみ
<長所>
・安価
・先端が丸ければ重大な怪我を負わせるリスクが低い
・歯根への負荷がニッパーに比べ少ない

<短所>
人力(手動)のため
・時間がかかる
・歯の大きな曲がりに対応できない

 

 

このようなことが、挙げられます。

どの機材にも一長一短があるとは思いますが、
門歯(前歯)の処置は、口腔内の損傷のリスクが低く、綺麗に切れ、歯根への負荷が少ないとされるため現在マイクロエンジンが一番良いとされています。ですから、私は門歯に関してはマイクロエンジンを使用し歯の処置を行う動物病院をおすすめします。

 

ただし、臼歯の処置については、マイクロエンジンでの処置は口腔内の損傷のリスクが高くなるため、一概にニッパーが良くないとは言い切れないのが今でも一般的な意見です。

 

しかし、その子が一生使い続けていく歯ですから、「食べられる、食べられない」という次元ではなく、「食べやすいように調節してあげる。歯根の負担をなるべく減らし、綺麗な歯をなるべく残してあげる」というレベルで話をしてあげたほうが、ウサギにとっては優しいのではないのかと私は考えます。そのため私は必要であれば麻酔をかけてでも、マイクロエンジンを使用し、綺麗に歯を削ってあげることが、一番いいのではないかと考えます。(もちろん麻酔のリスクを考慮しなければなりませんので、その子の年齢病歴等も考えなければなりませんし、費用も格段に跳ね上がります)

 

 

これは完全な個人的な意見にすぎませんが、
【門歯の処置】
マイクロエンジン一択

【臼歯の処置】
軽度な歯のとがり等であれば、麻酔をかけずにヤスリ、マイクロエンジンで処置し、
全体の歯の高さを整えたり、大きく曲がった歯を処置する場合は、麻酔をかけてマイクロエンジンで処置するのが最もウサギにとって良いのではないかと考えています。

 

 

 

飼い主さんからは同じ処置のように見えるかもしれませんが、方法が異なることによって、費用、リスク、そして結果は大きく違いが出てきます。「こんなことを話されても裏のことだからわかんないよ!」と言われるかもしれませんが、ウサギは犬猫よりも病院によっても治療方針が異なるので、飼い主さんが賢くなっていかなければならない一面があると思います。ちょっと深い話でしたが参考になれれば幸いです。

 

以上ウサギのハート代表でした。

2013/8/30

writer:ウサギのハート代表

長い間、腹腔内腫瘍により定期的に通院していた子が、食欲不振に陥り来院。
飼い主さんによると、細かく刻んだ野菜や、どろどろにしたペレットすら受け付けないとのことだった。
様々なことを選択肢として提示した上で、まずは、自力で食べられるようにサポートをする治療を行い、食べられるようになったら退院することとなった。

 

お預かりしてすぐに強制給餌を与えようとしたら、予想に反し、自らシリンジに口を近づけ、かじりつくくらいの勢いで、すべて食べてしまったのである。
病院まで移動してお腹が空いたのであろうか。
飼い主さんが野菜の与え方や種類、形状 が気に食わなかったのであろうか。
場所が変わって食べる気が起きたのか。

 

いろいろなことが考えられるが、「食べる気」があるので、強制給餌による在宅での管理に切り替えることが可能だと判断できた。

 

ただ気になる点が二つ。
ケージ内で一歩も動かず、ずっと扉の前でこっちを見つめていることと、私が近くに行くと「わざとらしく」皿の中の食べ物を口にするということだ。

 

これは私の感覚的なことであるから、獣医師としての判断ではないが、
「帰りたいんだろうな」
なんとなくそう思った。

 

結局、病院にいた約8時間、その子はケージ内で本当に一歩も動かずにその日のうちにお迎えに来た飼い主さんと帰って行った。
 

 

そして次の日…

 

病院へ向かうケージの中でその子は息を引き取った。

 

 

結果論であるし、私の妄想も含んでいること、想像の域を脱することはないが、
その子はきっと家に帰りたかったのだろうし、自分の死が遠くないことをわかっていたのではないかと強く思わずにいられなかった。

 

あの眼差しを私は一生忘れない。

あの子に出会えた感謝と御冥福を心から祈る。

 

2013/5/23

writer:ウサギのハート代表

二日前から食欲が落ち、前日は一切食べ物を口にしなかったということで来院。
触診をすると、胃はとてつもなく大きくなり、じっとして全く動こうとしない。重度のうっ滞と呼ばれる状態だ。

 

うっ滞とは、被毛や誤食したものが胃の中で塊となり、胃から排出されにくい(できない)状態となって起こる病気である。

初期の症状としては食欲低下であり、放置すると食欲が廃絶し、時として死に至る。

うっ滞により胃が大きくなりすぎると、周囲の血管を圧迫し、血行不良により二次性の肝不全、腎不全が起こる。血液検査で必要な採血すらも難しくなる。
さらには、胃の容量が限界に達していると強制給餌のような処置は、かえってウサギに苦しみを与えることもあるため、処置として強制給餌という選択肢が一つなくなる。

 

 

その子は来院した数時間後に病院の入院室で亡くなった。

 

 

亡くなる直前、胃液や胃内容物が口や鼻から出てくることがある。

 

ウサギは嘔吐ができない動物だ。しかし、胃が限界に達すると逆流してくることがある。
そして、その逆流してきたものをウサギが誤嚥し、呼吸困難で酸素を求め大暴れをしながら亡くなっていく。

 

 

「少し様子を見る」という行為はウサギにとって死を意味することが多くあり、食欲がなくなり二日で死に至ることもあります。

食欲が低下したらすぐに動物病院へ受診してください。明日、動物病院へ行こうでは手遅れになることもあるということをわかってほしいです。

 

一頭でも多くのウサギが元気に過ごせることを獣医師としてもウサギのハートの代表としても強く願っています。

 

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